『ランド・オブ・プレンティ』
ヴィム・ヴェンダース監督の『ランド・オブ・プレンティ』(Land of Plenty, 2004)。同時多発テロ事件をベースにした結構、政治色の強い作品。ただ、アメリカのパワーとか美しさとか、そんなものを強調したアメリカ万歳的な映画じゃない。
この作品を一言で表現するなら、たぶん、「見えない恐怖」だと思う。物語では、ラナ(左の女の子、Michelle Williams)の伯父さんが出てくるんだけど、彼がその「見えない恐怖」にとりつかれている。アメリカ社会にはムスリムが多く住んでいるけど、彼はそうしたムスリムたちを安易にテロリストだと判断してしまう。元軍人でヴェトナムで戦った経験をもつ彼は、なにやら怪しげな機材やら、偵察用の車を駆使して、そうした「テロリスト」たちの活動を調査しているのだ(個人的に…)。
ムスリムが洗剤を運んでいたら、それは彼には化学兵器を作るための材料を「輸送」しているように見える。それから、ある若いイスラムの青年が路上で殺害されると、テロリスト集団がこの暗殺には関与していると考えたり、また、老人がひとりで住んでいるフツウの家をテロリストのアジトだと勘違いし、武装して潜入したり…。かなり滑稽で笑える。でも、彼は真剣そのものだ。愛する米国を守るため、愛する米国民を守るため。ちょっと切ない。切ないのは彼の「敵」はみな、蓋を開けてみればフツウの市民だから。
一方、姪のラナは、アフリカやパキスタンに小さな頃から住んでおり、イスラム教徒の知り合いも多く、ムスリムという特定の集団に伯父さんほどのバイアスを持っていない。平然とイスラム教徒に近づく彼女を、伯父はまったく理解できない。ヴェトナムを経験した彼にとって、危険な敵に無防備で接近するなんて考えられない行為なのだ。こんな感じで、二人のやりとりは、ことごとくズレていて、そこが面白いところだし、悲しいところ。
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あるアーティストのライヴを見て失神する人がいる。たとえば、ビートルズのドキュメンタリーを見ていると、よく失神した女性ファンが警官に運ばれていく映像がある。興奮のあまりに失神したのだ。ほんとにビートルズが好きなんだなぁと、ため息がでる。ファンの「のめり込み」具合にはちょっぴり驚かされる。

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