山田じろう
最近、サイモン&ガーファンクルの曲を聴いていると、ある中学時代の友人、山田じろう(仮名)のことを思い出す。
山田じろうは背が小さく、普段はあまり目立たなかったけれど、ギターがとても上手いやつだった。学園祭のときに黒いエレキギターをかっちょよく弾いていたのをまだ覚えている。彼はあまり話さず、何となく不思議な雰囲気をもっていた。そして、なぜかいつも髪の毛がボサボサだった。
音楽の時間、僕は彼と席が近かったためか、よく音楽の話をした。そのとき、サイモン&ガーファンクルを彼から教えてもらったのだ。スピッツとミスチルくらいしか聞いたことがなかった僕は、洋楽自体が新鮮だったし、ミステリヤスな山田じろうが聴いている音楽にも若干興味がわいた。それで、サイモン&ガーファンクルを聞いてみることに。すると、
「なに、これ…」
聞いてすぐに嫌になった。なんだか、退屈な曲ばかりなのだ。歌詞もおもしろくないし。一体どこがいいんだよ、山田じろう…。結局、山田との間で、サイモン&ガーファンクルの話で盛り上がることはなかった。
それから月日は流れ、去年あたりのことだ。TSUTAYAで何の気無しにサイモン&ガーファンクルのアルバムを手に取った。一瞬、山田じろうが頭をよぎる。急に懐かしくなり、アルバムを借りて、聴いてみることに。すると、
「なに、これ…」
めちゃくちゃ良いではないか、山田じろう! うわ~い。しかし、単純に感動している場合ではない。中学の時の僕は、いったい何を聞いていたんだろう…? わからない。それに、少しだけ山田に申し訳ない気もする。今なら、彼に、
「山田じろう~、サイモン&ガーファンクル、めっちゃええな~」
って言うのに。話も盛り上がるはずだ。
だけど、それも今となってはもう遅い。どうやら機会を逃してしまっていたようだ。
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